ビールの値段が変わる、どうなる酒税法改正?
最近国会で酒税法の改正が議論されているらしい。今後の消費者が買うお酒の値段が変わるかもしれないのだ。現状の税体系と今までの経緯、今後どういった流れになるのか説明したい。
お酒には税金が掛かっている
現在の法律で20歳以上が飲めるお酒には税金が掛かっている。スーパーやコンビニで売っているお酒には、既に酒税という税金が上乗せされているのだ。現在の税率は以下の通りである。
350mlの缶
ビール(77円)
発泡酒(47円)
第三のビール(28円)
これは酒税法という法律で定められており、1%以上のアルコール飲料は全て適用をうける。
ビール、発泡酒、第三のビールの定義
酒税法では以下のようになっている。
ビール・・・麦芽の割合が66%以上のもの
各社の代表的な製品
ビール・・・ザ・プレミアム・モルツ(suntory)、一番搾り生ビール(kirin)、スーパードライ(asahi)
発泡酒・・・淡麗極上(kirin)、ドラフト(asahi)
第三のビール・・・金麦 (suntory)、のどごし生(kirin)、クリアアサヒ(asahi)
あまりお酒に税金を払いたくない人は意識してもいいのかもしれない。また当然ビールメーカにとっては税金は少しでも安くした方がよい。過去にサッポロビールが第三のビールとして売り出した「極ZERO」が、国税局によって認められず115億円の追加納付を求められた事例もある。(「極ZERO」は発泡酒であると認定された)
発泡酒、第三のビールの開発の経緯
サッポロビールをはじめ、各社はしのぎを削っている
そのため近年は、国内メーカーがより法律内で安いアルコール飲料を作ろうと努力し、酒税を管轄する国税局が法律を変えて税収の確保に動くといったことが繰り返されてきた。
企業努力により麦芽の割合が66%以下の発泡酒、麦芽を全く用いてない第三のビールというジャンルも誕生した。昔であれば麦芽を用いないビールの製造など考えられなかっただろう。
お酒は消費量も税収も減少傾向
ただ最近はビールの消費量も減少傾向にあるといわれている。
1996年の966万kl(キロリットル)をピークに減少し、2012年は854万kl(キロリットル)となり、ピーク比12%減となっている。成人一人当たりでみると、19%の減少となっている。
そのためタバコ税などと違い酒税は減少の一途だ。
特に税率の安いビールの出荷数が増えていることも要因の一つとされる。
理由としては、上述した消費量の減少や税率の高いビールの構成比の減少(1989年71%、2012年31%)、第三のビールなど税率の低い酒類の伸長がある。
国会で酒税法の改正が議論、税収増が狙い?
国会で議論されていることは、現在まちまちであるビール税の額を統一しようということである。具体的にはビール(77円)、発泡酒(47円)、第三のビール(28円)の税額を54.25円という額に一律にする。狙いとしてはおいしいビールをメーカーに作ってもらい、消費需要と税収を回復させることが目的とされる。今回の法改正に対して麻生太郎財務相は以下のように発言している。
麻生太郎財務相は10月28日の衆院財務金融委員会で、ビール類の酒税に関し、「まずくするために一生懸命に商品を開発するのはあほらしい」と語った。
この発言は発泡酒や第三のビールを試行錯誤で開発してきたビールメーカーに失礼だと思うが、消費者離れが進んでいるビール市場を活気づけたいというのが本音としてはあるのだろう。
酒税法改正のポイント
国会ではビール(77円)、発泡酒(47円)、第三のビール(28円)の税額を54.25円という額に一律にすることで決まった。今後は10年間かけて税額を3段階にわけ統一するという。
今後の流れは以下のようになる。
2020年
ビール税(77円) →70円
第三のビール(28円)→37.8円
2023年
ビール税(70円)→63.35円
第三のビール(37.8円)→46.99円
2026年
日本酒とワインの税額も変わる?
また今回の法改正ではあまり話題にされなかったが、日本酒とワインの税額変更も決まった。現在日本酒の税額は42円、ワインは28円といわれている。それを段階的に35円程度にするということも決定した。
日本酒の税額は、同じ醸造酒のワインより高いと生産者らから反発が出ていた。日本酒は現在350ミリリットルあたり42円、ワインは28円で、段階を経て35円程度に一本化される。日本酒は減税、ワインは増税になる。
昔からビールはお金持ちの飲み物といわれ、日本では高い税率が課せられていた。アルコール度数で税額を決める海外と対称的だといわれている。(ビールはアルコール度数が低い)
今回の法改正では一律になるという。今後はどのような流れになるのだろうか?